Windows 10附属フォントの一覧やライセンスについて

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※西暦2020年5月24日現在の情報です。

Windowsには昔から「MS明朝」などのフォントが附属していましたが、最近になってフォントの数がかなり増えています(し、良質と言われるフォントが増えました)。 また、これらのフォントに関してのライセンス(使用許諾)については以前はかなり曖昧で、個々人がマイクロソフトに問い合わせた結果がインターネットで流れていて、それがまた問い合わせた時期によって変わっているなんて状態でした。

最近なんとなしにフォントを調べていたら、マイクロソフトの公式サイトでこのあたりについてしっかり書かれたページを見つけました。 Microsoft Typography documentationです。 ここからのリンクで諸々の情報にアクセスできますが、そのいくつかについて紹介します。なお、現在のところ日本語では提供されていないようです。

なお、左メニューの“Download PDF”を押したら、OpenTypeの規格書を含む“Microsoft Typography”の内容全てが2670ページのPDFで降ってきました。めちゃくちゃでいいですね。

フォント一覧

Font List Windows 10には、Windows 10に附属しているフォントが並べられています。

一番上にあるのは、全ての言語のWindows 10に最初から入っているフォントです。下のほうに言語別に並んでいるのが、“Feature On Demand”といって設定で各言語を利用可能にしたときなどに自動でインストールされるフォントです。

“Feature On Demand”なフォントは、手動でインストールすることもできます。 特におすすめなのが“Pan-European Supplemental Fonts”で、Arial Nova、Georgia Pro、Gill Sans Nova、Neue Haas Grotesk Text Pro、Rockwell Nova、Verdana Proという品質が高くウェイトも充実した汎用性の高いフォントが入ります。 Windows 10 にアップグレードした後、不足しているフォントをインストールする方法の「言語の設定を変更せずにオプションのフォントを手動でインストールする場合」の手順に従って「ヨーロッパ各国語追加フォント」を追加すればよいです。

Font libraryのほうには、Office附属フォントも含めた一覧があります。 注意すべきは、(なぜか)Font libraryのインデックスページには書かれていないフォントがあり、左のメニューのほうがより完全なリストになっていることです(游明朝が例)。

ライセンス

ライセンスに関してはFont redistribution FAQにかなり分かりやすい形で書かれています1

ライセンスの内容は商用フォントとしては非常に寛容で、ざっくりまとめると、

  • 印刷物には商用非商用問わず使用可能
  • デジタルな画像に関しても商用非商用問わず使用可能
  • 会社のロゴにも使用可能
  • 基本的にフォント自体の再頒布はできない
    • PDFなどへの埋め込みは可2
    • ビットマップに変換してゲームやアプリのテキスト表示に使う(一文字一文字を画像化してフォントとして使う)のも不可(そもそも変換自体がだめ)
    • それ以外の「語や文章」を画像化してゲームやアプリへ使うのは可
    • Webフォントとしてダウンロードさせるのは不可

です。

普通の用途ではこれで困ることはないのではないでしょうか。ロゴ作成まで可というのは珍しい気がします。ゲームへの利用についてもきちんと書かれていてありがたいですね。

ただし、商用利用などについて「明示的に家庭用や教育用、非商用としてライセンスされた製品を使っている場合を除く」という条件がついています。例えば、【2019年9月】学生なら無料でWindows 10のライセンスを手に入れられる - tkg5thのブログによると学生は無料でWindows 10を使えるようですが、この方法でインストールしたものはこの条件にひっかかります。

このライセンスが適用されるフォントの範囲は、Windowsに附属するフォント全てとのことです。 例えば游明朝体は字游工房が製作したフォントですが、このライセンスで使えるようです(游明朝体の個別ページにも同FAQへのリンクが置かれています)。

よくわからないのがOffice附属のフォントで、適用外なのかと思えばHG創英角ゴシック体の個別ページには同FAQへのリンクがあり、ライセンス適用対象のように見えます3。一方で同じくOffice附属フォントのはずのHG創英角ポップ体はリストにありません。 HG創英角ゴシック体のページは作成日が2020年04月17日とのことなので、もしかすると他のOffice附属フォントもいずれ追加されるのかもしれませんね。

……「ライセンスが明確になったやったー!」という記事にするつもりだったのですが、結構疑問点が残りますね。マイクロソフトさん頑張ってほしい。

※ライセンスに関しては参考に留め、必ず原文を確認してください


  1. とはいえこの文書はFAQ(よくある質問)の体裁をとっていて、これが法的な効力をもつライセンス文書なのかというと怪しいです。ですが、他にきちんとしたライセンス文書を探そうとしてもマイクロソフトソフトウェアライセンス条項 WINDOWS オペレーティングシステムしか見当たりません。が、これは「本ソフトウェアに含まれるフォント」に適用されると明記してあるので、上のFAQはこのライセンス条項の解釈についての解説とみるのが妥当そうに思えます。 ↩︎

  2. 「フォントファイルに含まれている埋め込み許可の条項に従う限り」という限定はありますが、まともなソフトでPDFを生成すればそれに従うはずなので、あまり気にしなくてよさそう。 ↩︎

  3. ただし、マイクロソフトソフトウェアライセンス条項 WINDOWS オペレーティングシステムには、「Word、Excel、PowerPoint、および OneNote が Windows に同梱されている場合、これらのアプリケーションは、お客様による個人的かつ非商業的使用のためにライセンスされます。ただし、お客様が別途の契約に基づく商用使用権を有している場合はその限りではありません」とあります。Windowsに同梱されているOffice(そんなものがあるのでしょうか)の場合は更に注意が必要です。 ↩︎



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